イタリアの国民的おもちゃ×九谷焼の伝統が融合。マットな質感に墨で描いたようなロディ

石川県小松市で伝統工芸品の九谷焼をつくっている「九谷陶泉（くたにとうせん）」。お客のリクエストをきっかけに誕生したのは、2024年に40周年を迎えた子ども用バランスボール「ロディ」と、九谷焼をコラボレーションさせた、デザイン性が高く愛くるしい置物です。

10年ほど前、九谷陶泉の山元歩専務は、石川県出身のお客から「娘の出産祝いに贈るものが欲しい」との依頼を受けた。たまたま入ったおもちゃ店で、偶然目にしたロディの愛らしい姿に「これだ」とひらめいた専務。

こうして誕生したのが九谷焼ロディでした。丸々としたボディ、ピンと立った耳と尻尾、まん丸の脚はオリジナルのゴム製ロディそのもの。硬質な磁器でありながら、弾むような質感を見事に再現しています。そしてもうひとつ、この置物の見どころといえば、その多彩なデザイン。

「鋳込み型で成形した素地に、作家が自由に描いていきます。現在、20余人が参加。若手作家から80代の熟練まで、世代も作風もさまざま。九谷焼らしい古典的なデザインもあれば淡い色彩の絵柄もあり、作品によって雰囲気が異なります。選ぶ楽しみがあるのも、この置物の魅力です」

色鮮やかで繊細なデザインは見れば見るほど美しい。インテリアに映える華やかな佇まいで、出産祝いなどの贈り物にも最適です。

こちらのロディは「武田朋己作 Sumie」。墨で描いたようなにじみのある花の描線が独創的。脚のドット柄が愛らしい。磁器でありながらマットな質感に仕上げています。

- text: Misa Hasebe　photo: Shimpei Fukazawa（Discover Japan 2024年3月号より引用）

＜メーカーのご紹介＞九谷陶泉（くたにとうせん）

1863年創業。石川県小松市にて伝統工芸品である九谷焼の製造・卸売等を行っている。百貨店向けにオリジナルの高級食器を展開するほか、近年は作家とのコラボレーションによる特別注文品や手描きによる少量生産も積極的に行い、九谷焼の魅力を発信している。

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掲載誌

Discover Japan 2024年3月号「口福なニッポン」

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