土と炎が生み出す艶やかな姿

名高い陶芸一家に生まれ育った伊勢﨑創さんにとって、幼い頃から備前焼はとても身近な存在でした。「強く意識していたわけではありませんが、頭の端のほうで、自分もいつかは備前の道に進むのだろうなと思っていたのかもしれません」。洗練されたフォルムと美しい窯変(焼成により現れる色) 。伊勢﨑さんのうつわは、キレのある表情が魅力です。「備前本来の素材や技法を的確に把握し、その中で自分の求めるものに合う土や焼成方法を見極め、精いっぱい丁寧につくっています」。枠にはまらず、常に新しい感覚で作陶しているとも。「普段着感覚で使ってほしい。派手さはないですが不可欠な存在になれたらうれしいです」。

こちらは、“紫蘇色”と表現される赤褐色の色合いがみずみずしい片口酒次。上部を内側に折り込んでいるため、手の掛かりがよく注ぎやすいです。気の合う仲間との語らいの席で、冷酒などをお入れ下さい。

＜作家のご紹介＞伊勢﨑創（いせざき・そう）

1968年、備前焼作家・伊勢﨑満（みつる）の三男として生まれる。高校卒業後、備前焼作家の山下譲治に師事。2001年に登り窯を築き独立。以降、全国各地で個展を開催。現在は、うつわのほかに陶壁やレリーフなども制作。

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