つやのあるうつわで食卓に花が咲く。和洋を問わず、現代の食卓に馴染む逸品

ろくろは筋だと、「うつわ祥見KAMAKURA」の祥見知生さんは言う。それは毎日100、200とろくろを挽くことで生まれてきた身体のリズムだと。線の美しさ、のびやかで無理のないかたちを描くのは簡単なことではない。荒賀文成さんはそれを気負いなく、自然とそこにあるような姿を水挽きでつくり出す。

こちらは、つやのあるうつわで、食卓に花が咲く「粉引」の作品。ろくろ成形による流れるようなフォルムの上に、つやのある柔らかな白が生かされる。迷いのない手つき、化粧がけのスピード感といった自然のリズムが荒賀さんのうつわの美しさをつくっている。かつて馬を洗うために使った大きなたらいを、食卓のうつわとしてかたちにした「馬たらい皿」は、その真骨頂。和洋を問わず、現代の食卓に馴染む。

※こちらの作品には一つひとつ個体差がございます。

手作業によりつくられるため、釉薬の流れや文様、色合いなどひとつひとつ異なり、ふたつとして同じものはございません。ご理解のうえでお求めくださいますよう、何卒お願い申し上げます。

（上画像：目跡、黒点の例）

【目跡】うつわの中心にあるポツポツとした跡。これはうつわを重ねて焼いた際にできる「目跡（めあと）」と言い、傷ではありません。焼かれた陶磁器が地面にくっつかないよう、陶磁器と地面の間にかませた粘土の痕跡で、上下の釉薬が熔けても作品同士の熔着を防ぎます。

text: Yukie Masumoto　photo: Yuko Okoso
（Discover Japan 2024年10月号より引用、一部加筆）

＜作家のご紹介＞荒賀文成(あらが・ふみなり)

1972年、京都府生まれ。京都府立陶工高等技術専門校研究科を卒業し、北白川銀月アパートにて「荒楽窯」を開窯。現在は京都・八幡市にて作陶。柔らかく、自然な曲線の粉引が特徴的。

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掲載誌

Discover Japan 2024年10月号「自然とアートの旅。」／ダブル特集「九州」

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