中国茶や緑茶に。心躍るかわいらしい茶器

text: Misa Hasebe photo: Shimpei Fukazawa
(Discover Japan 2024年7月号より引用、一部加筆)

ピンク、黄色、水色……。うつわを埋める、色とりどりの草花。その香りに誘われて飛んできたのか、ひらひらと舞う蝶も描かれている。矢田久美子さんのうつわは、まるで絵画のよう。そこに言葉はないが、繊細で幻想的な描写を眺めていると、不思議とストーリーが頭に浮かんでくる。見る人の心をつかんで離さない。

矢田さんの代名詞ともいえるのが、草花の絵付け作業。驚くことに、下絵なしで頭の中で大まかにイメージした景色を、フリーハンドで直接うつわの表面に描き出していく。透明感を残しつつ、色を重ね、奥行きを出していく。まるで水彩画のような絵柄はハッとするほど美しい。色彩にも強いこだわりがあり、パステル彩の彩度を微妙に落とすことで落ち着いた、大人かわいい印象になる。

ティータイム専用のうつわでお茶を味わう。贅沢なひとときは、心をもゆるめてくれるだろう。

こちらの茶杯は、マットな白釉が繊細な絵付けを際立たせている。格子模様はレースをモチーフにしたもの。手に納まるサイズ感で中国茶や緑茶に。

＜作家のご紹介＞矢田 久美子（やだ・くみこ）

京都市立芸術大学美術学部卒業。企業の広報やデザイン専門学校の講師を経て、昔から好きだったものづくりの道に進む。2008年、佐賀県立有田窯業大学校に入学。卒業後、有田で独立し、アトリエを開業。ろくろや鋳込みによるうつわの造形から絵付けまで、一貫して行っている。

関連記事

《矢田久美子》のうつわ優美なティータイムを演出
渋谷パルコ《矢田久美子ミニ個展》開催！
うつわ作品ラインアップ

掲載誌

Discover Japan 2024年7月号「沖縄」

商品について

ご購入前にご確認ください