シリンダーシリーズのうつわ。小物入れとしても美しい

マットな素地に漂う霧のような模様。「霧流し」と呼ばれる技法は、シライさんの代名詞といっても過言ではない。日本古来の伝統技法である墨流しを再解釈したもので、水墨画のような幻想的な描写が、見る者の目を奪います。

不要なものを削ぎ落とした姿は凛としていて、迷いを感じさせない。かといって他を拒むのではなく、絶妙な余白がうつわ全体に調和をもたらしている。

デビュー当初から霧流しと並行してつくっているのがCylinderだ。マスキングテープを使い、白黒２種の釉薬でブロック状の模様を描いていくのだが、霧流しとはまた異なる、どこかレトロでモダンな雰囲気が楽しめる。

個展ではバラエティに富んだ作品が集結。日常使いしやすいかたちなので、手にしたその日から活躍することだろう。こちらの「b/w Cylinder W」は、直径およそ12.5cm。小物入れとしても使えそう。

- text: Misa Hasebe　photo: Shimpei Fukazawa（Discover Japan 2024年4月号より引用、一部加筆）

＜作家のご紹介＞シライナギサ（しらい なぎさ）

1991年、栃木県生まれ。愛知県立瀬戸窯業高校の専攻科を修了後、瀬戸市新世紀工芸館を経て金沢卯辰山工芸工房へ入所。2017年、日本クラフト展入選、2018年、テーブルウェア大賞入選ほか。現在は金沢で作陶している。

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掲載誌

Discover Japan 2024年4月号「日本再発見の旅／巻頭特集：北陸の旅へ」

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